現在すでに、世界ではスマートフォンに搭載されたスマートエージェントもしくは人工知能アシスタントの開発競争が過熱している。前述したアップル「Siri」、Google Now、マイクロソフト「コルタナ(Cortana)」、フェイスブック「M」などがその代表例となる。
現在、それらの人工知能アシスタントは、ユーザーの質問に答えたり、命令に対してタスクを処理する。例えば、Siriに向かって「おしゃれな店」と話しかければ、位置情報サービスと連動した検索結果が返ってくる。また、「メール」と言えば、メール作成ページを開き「誰に送信しますか?」と、逆に人間に質問してくるという具合だ。
音声認識技術など技術的な改善点は多い。話しかけても言葉が通じず、やきもきした経験がある人も多いだろう。使う人間側の習慣の問題もある。街中でスマートフォンやタブレットに向かって話しかけるというのは何だか気恥しい感じもするし、なかなか慣れない人も少なくないはずだ。
ただそれらの問題は、時間が経過すれば解決するようにも見える。音声認識技術の向上は目を見張るものがあるし、一昔前に比べればかなり“聞き分けのよい”人工知能アシスタントが増えた。人間の習慣も一度使って便利となれば徐々に変わっていくはず。いずれアプリをいちいち開くより、利便性は高まるかもしれない。
ただし、その段階でもガートナーが指摘するような「ポスト・アプリ時代」とするのは早計な気がする。ユーザー側にとっては、あくまで選択の問題で、スマートエージェントに検索を頼むか、使いなれたアプリを開くかの差でしかない。人間が指示を出してコンピューターが命令を処理するという根本的な点では共通している。
個人的に思うに、もしポスト・アプリ時代が到来するとして、その重要な契機になるのは、スマートエージェントが“ユーザー以外”の環境から情報を集め、それをユーザーに“自動的”に提示しだした時ではないだろうか。言い換えれば、人間が命令・検索しなくても、スマートエージェントが情報を自動的に作れるだけの性能を兼ね備えたタイミングと言えそうである。
