虹彩を使った識別技術が再び注目を浴びることになるのは、1980年頃だった。アメリカの眼科医レオナド・フロム(Leonard Flom)氏とアラン・サフィール(Aran Safir)氏が1986年に「虹彩パターンは人によって違う」というコンセプトの特許(フロム特許)を出願。さらにその後、 1992年にはケンブリッジ大学のジョン・ドーグマン(John Daugman)博士が虹彩のパターンを数学的な根拠に基づきコード化を行う特許 (ドーグマン特許)を出願した。
現在、世界的に商用化されている虹彩認識システムは、ドーグマン教授が提案したアルゴリズムにベースを置いているものとされている。仕組みとしては、カメラで認識した写真を虹彩認識アルゴリズムが様々な領域別に分析し、個人固有の虹彩コードを生成する。さらには虹彩コードがデータベースとして登録されるのと同時に、比較検索が行われる。識別にかかる時間はわずか数秒。指紋認証とさほど変わらない早さだ。
それら虹彩認識の技術は、さまざまな生体認証技術の中でも最も精度が高いことで知られている。 先述した通り、普及を迎えた技術である指紋認証と比較すると、その差は歴然。
IT専門メディア・ビジネスインサイダーは、「サムソン電子のギャラクシーS8の虹彩認証技術は、米連邦捜査局(FBI)が使用する指紋認証よりもはるかに優れている」と、その性能を評価している。
なお、虹彩認証市場は2020年には約4050億円規模になると予想されている。モバイル端末のみならず、銀行や金融業界でも積極的に導入が進んでおり、今後も追随する業界が増えていくと見られている。
