カナダ・オンタリオ州がIBMの新研究施設に約19億円を助成

ロボティア編集部2017年5月17日(水曜日)

 カナダ・オンタリオ州が、IBM Innovation Space-Markham Convergence Centreの開設にあたり、2275万カナダドル(約18億8,825万円)を助成した。IBMカナダがある同州マーカム市に新設されるIBM Innovation Space-Markham Convergence Centreは、州内の企業の発展と、グローバル市場での競争に必要な技術や専門知識を提供することを目的とする。特に、オンタリオ州のヨーク(York)地域とグレータートロント地域における中小企業の迅速な成長と地域経済の発展を支援することを目指す。

 この新しい施設の開設は、IBM Innovation Incubatorプロジェクトの一環であり、オンタリオ州とIBMカナダ、オンタリオ中核的研究拠点(Ontario Centres of Excellence, OCE)およびventureLAB の4者の協力により実現した。

 IBM Innovation Incubatorプロジェクトは、中小企業がIBMの技術資源を活用して、新しい技術や製品を迅速に実用化し、世界の顧客に提供するために必要な支援をしていく。具体的には、コグニティブ(認識)ビジネス技術やクラウド・ベースの開発プラットフォームなどの他、労働スペース、顧客ネットワークなどの提供が含まれる。

 IBM Innovation Incubatorプロジェクトには、2020年までに、2600人分の雇用を創出することが期待されている。5月8日、オンタリオ州政府の研究・イノベーション・科学省大臣であるレーザ・モリディ氏は、ブラッド・デュグイッド経済開発・成長省大臣およびマイケル・チャン州議会議員(オンタリオ州マーカム・ユニオンビル地区選出)とともに、IBMカナダのIBM Innovation Spaceで開催されたオープニング式典に出席。出席者たちは、次のようにコメントを残した。

「オンタリオ州政府は州の産業の拡大を支援するため、戦略的パートナーシップを通じて様々なイノベーションの促進にコミットしています。IBM Innovation Space-Markham Convergence Centreのような協力スペースができることは、起業家が専門知識や先端技術にアクセスするのを助け、同州のイノベーターたちが、彼らの優れたアイデアをテストし、発展させ、実用化し、更に、世界市場へとつながることを支援します」(レーザ・モリディ氏)

「起業家精神とイノベーションは、わが州政府の雇用創出、経済成長の核心です。IBMのイノベーション空間の設立は、大変喜ばしいことです。なぜなら、州内の企業が、世界経済のし烈な競争下で、需要に応える必要なツールにアクセスすることが可能となるからです」(ブラッド・デュグイッド氏)

 IBM Innovation Space-Markham Convergence CentreでIBM Watson研究所の人工知能技術をすでに活用しているスタートアップに「Studio1Labs」がある。同社は、呼吸の変化を検知する繊維センサーを使い、乳幼児の生命を救うベッドシーツを開発している。