農民工からロボットへ…中国最大の工場地帯ではすでに8万人以上を代替

ロボティア編集部2017年1月20日(金曜日)

 人工知能(AI)を搭載したロボットが、人間の労働を代替するとの予想が相次ぐなか、その影響が最も大きいだろうとされているのが、製造業の分野である。

 ここ数年、中国では製造業分野へのロボット導入が進んでいる。その主な理由は、人件費の高騰による製造原価上昇を抑えるためだ。

 中国最大の軽工業密集地域・東莞では、人件費の上昇を抑えるため、労働者の代わりに人工知能を備えたロボットの導入を検討する企業が増えはじめている。2014年9月以降、この地域一帯のメーカーは、合計108億元(約1811億円)を投入し、約8万人の労働者を代替したと中国メディア「財經網」は報じている。

 また、浙江省のとある労働密集型工場地区でも、2013年以来、約75.7%の労働者が“削減”されたという。そこに取って替わったのは、AIを搭載したロボットだったという。

 現在、浙江省の製造業密集地域には、約200万人の熟練労働者だけが残っている状況だ。そのような現場の変化について、「各メーカーは人件費の過剰支出を解決し、労働者は単純労働から抜け出すことでウィン-ウィンとなった」との現地メディアの分析もある。

 一方で、中国の人工知能&ロボット事情を、過大に評価すべきではないという論調もある。中国の有力メディア・「網易財經」の付設研究所「网易研究局」は、昨年、中国内で運営されているAI関連の代表的な企業27所が稼いだ収益は、約40億元(約670億円)に過ぎないとした。そのうち、“億元”以上の収益を得た企業は、わずか7つであり、3つの企業は、マイナスの営業利益を記録するにとどまったとも報じている。また网易研究局は、技術が発展したとしても、人工知能ロボットが代替できる業務は、単純な労働・労務職にとどまるとの見解も示した。並行して、複雑な知能・精神労働分野では、まだ人間が活躍する必要があるとも分析している。