四肢まひ患者「脳に電極」で触覚回復…オバマ大統領と握手

ロボティア編集部2016年10月20日(木曜日)

 手足にマヒのあるネイサン・コプランド(Nathan Copeland)氏は、ロボットアームで、バラク・オバマ大統領と握手を交わした。

 ピッツバーグ大学の研究チームが開発したこのロボットアームは、患者の意思で操作することができ、なおかつ触覚を取り戻すよう人間を支援する。オバマ大統領は「すごい」と称賛。医工学分野で初の快挙をあげたチームを祝した。

 大統領がロボットハンドを握ると、コプランド氏の脳に埋め込まれた小さなチップが反応する。大統領は「僕が握手するとネイサンに信号が送られて、彼は僕が手を握っていると感じる。見事な正確さだ」と説明した。

 感覚を感じることのできる義肢の開発プロジェクトの一環として行われたこの研究の詳細は、サイエンス・トランスレーショナル・メディシン(Science Translational Medicine)に掲載された。目隠しされてどの指に触られているのか答える検査では、コプランド氏の正答率は84%にのぼった。

 この脳波を利用して義肢を動かす最新のテクノロジー研究は、障害者の自立を支援することを目標に置く。また、手足を失った人のための義肢の改良も目指す。

 マヒ患者が自分の動きをイメージするだけで、ロボットアームが動き、他人に触れたり、コーヒーを飲んだりできるテクノロジーズについては、近年、大きく報道されている。患者がイメージすると脳に埋め込まれている電極が作動して、義肢に動くように指令が出る仕組みだ。電気信号は、コンピュータを通じてロボットの義肢に伝えられる。

 今回の研究の目新しさは、ブレインコントロール技術を使って、感覚を再構築するという点。つまり、これまでは脳からロボットへ情報がアウトプットされてきたが、逆にロボットから脳に情報がインプットされるということになりそうだ。

 動くという行為は本来、筋肉の動きだけで成り立っていない。手で何かに触れた感覚があれば、人はそれを落としたり、押しつぶしたりせずに、ちょうどよい力を保てる。人間側の感覚を取り戻すという作業は、リハビリ用ロボットアーム開発にとって非常に重要な課題となる。