沖縄銀行が金融知識備えた“ロボット接客”開始…リクルートテクノロジーズが開発

ロボティア編集部2016年10月20日(木曜日)

 株式会社リクルートテクノロジーズ(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:北村吉弘、以下:リクルートテクノロジーズ)と株式会社沖縄銀行(本社:沖縄県那覇市、代表取締役頭取:玉城義昭、以下:沖縄銀行)は 2016 年 10 月、沖縄銀行店頭にて、独自の会話技術を用いたロボット活用をスタートしました。

 リクルートテクノロジーズが開発する会話エンジン「TAISHI」を搭載した、人型ロボット「Pepper」が、沖縄銀行 5 店舗に登場。業界初、金融知識および “文脈考慮”技術を搭載し、金融に関する対話業務(接客)を担います。

-IT バリアフリー化の足がかりへ。沖縄銀行がリクルートテクノロジーズのロボット会話技術を採用

 2016 年の人口増加率が東京都に次いで全国 2 位であり、平均寿命も長いとされる沖縄県では、銀行利用者の多様化・高年齢化が進んでいます。また、銀行の店頭業務は IT 化が進み、接客時もタブレットが活用されるなど、来店者様の IT リテラシー次第で、サービス満足度に差が生まれやすい環境となりつつあります。沖縄銀行では、こうした背景を踏まえ、地方銀行として、多様化・高年齢化する利用者層に対し、新たな提供価値を生み出す必要があると考えてきました。

 一方、リクルートテクノロジーズでは、「ロボットとの対話により、IT リテラシーが高くはない生活者層に対しても、様々な IT 技術や、Web 上の情報にアクセスできる機会を提供したい」という考えのもと、自然な対話を行える会話エンジン「TAISHI」を独自に開発し、実証実験を重ねてきました

 今回、「将来的に、IT のバリアフリー化を実現する足がかりとしたい」という両社の意向が合致した結果、沖縄銀行向けにカスタマイズした「TAISHI」をPepper に搭載し、店頭での接客業務に採用する運びとなりました。

-“集客”ではなく“対話”で業務サポートへ。金融知識を搭載した Pepper、5 店舗で一次接客スタート。

 沖縄銀行では昨年 12 月より順次、複数店舗に Pepper を設置してきました。しかし、来店者様と Pepper との対話は少なく、商品やキャンペーンの紹介、カチャーシー(沖縄独特の踊り)披露などあくまでその効果は“店頭への集客”にとどまっていました。

 今回は、スピーディーかつ的確な対話を行える「TAISHI」を Pepper に搭載することにより、“来店者様との対話”を主体とした業務サポートを図ります。下記 5 店舗にて 10 月より、以下の業務を担当する予定です。

■「TAISHI」搭載 Pepper 導入店舗一覧

・本店営業部 ・新都心支店 ・牧港支店 ・山内支店 ・名護支店

■「TAISHI」搭載 Pepper 業務内容 第一段階(今回の取り組みにて、実施)

・「TAISHI」搭載による来店者様との金融に関する対話(来店者様の質問へ回答)
例えば、ATM の利用時間、手数料、預金・融資商品、住所変更など諸届けの手続き方法の案内など。

・Pepper 胸部タブレットを利用したアンケート(ローンの決め手など)による、来店者様ニーズの把握。

■「TAISHI」搭載 Pepper 業務内容 第二段階(時期未定、将来的な実施の可能性あり)

「TAISHI」に蓄積された応答内容を分析し、コミュニケーションの深化を図る。例えば、「来店者様の Pepper からの離脱タイミング」を分析し、Pepper の応答内容の変更を行うことで、対話時間を長くするなど。

■「TAISHI」搭載 Pepper 業務内容 第三段階(時期未定、将来的な実施の可能性あり)

・方言対応や、今後も増加が予想されるインバウンド需要※8に備えた複数言語への対応。

・最終目標としては、来店者様と Pepper の対話した内容をデータ連携で窓口行員へ伝えたり、県内の地価情報など外部のデータを会話に反映させたりすることで来店者様との取引契機拡大を図る。

-独自会話エンジン「TAISHI」に金融知識をカスタマイズ。“文脈考慮”機能により会話の流れに沿った応答も可能に

 店頭で Pepper に話しかけると、 左図のような仕組みで返答します。この仕組みは、リクルートテクノロジーズが自然言語処理技術を活用し独自開発した会話エンジン「TAISHI」により実現しています。

「TAISHI」はクラウド上のデータベースのため、Pepper に限らず、スマートフォンや Web サイトなど、あらゆるデバイスに搭載可能です。また、基本会話辞書の他に、様々なデータベースを「独自辞書」として付加することにより、会話のレパートリーを自由に拡張することが可能です。今回は、「TAISHI」において金融分野のデータベースを開発、実装しました。専門用語の解説や、質問への回答など、業務に関連する対話を想定した仕様となっています。

 さらに、今回の取り組みでは、ビジネスシーンでより適切な対話を実現するため、Pepper へ搭載される会話エンジンとして初めて、金融辞書を付加した「文脈考慮」技術を開発・搭載しました。これまでの一問一答ベースでの対話ではなく、直前の会話内容(文脈)を記憶して話す内容に反映します。例えば、Pepper に「金利」に関する質問をした場合、それまでの対話内容に応じて、「ローンの金利」・「預金の金利」・「為替の金利」など、最適な回答が瞬時にできるため、より来店者様のニーズに合った対話が可能になります。