Galaxy Note7販売中止のサムスン...気になるIoT・フィンテック事業への影響

ロボティア編集部2016年10月16日(日曜日)

 サムスン電子は11日、安全性の問題から最新スマートフォン「ギャラクシーノート7」の製造と販売を中止すると発表した。サムスンは、ノート7のバッテリーから発火が相次いだことから、先月上旬に250万台のリコール(無償回収・修理)を発表。しかし、交換後の製品からも発火が起きたため、通信事業者に同モデルの販売・交換を停止するよう要請し、利用者には電源を切って使用を中止するよう求めていた。

 これまでにサムスン電子は、ギャラクシーノートシリーズなどスマートフォンに適用された最新技術と、自社新サービスを連動させ、普及させる戦略を展開してきた。しかし、今回の事態を受け、注目されていた虹彩認証機能はもちろん、フィンテックやセキュリティ、クラウドにいたるまで、さまざまな事業において長期的なビジネスプランの見直しを余儀なくされている。

 関係者によると、サムスン電子はギャラクシーノート7を皮切りに、ウェアラブル(着用型移動通信機器)事業を拡張し、新技術サービスの基盤を固めていく方針であったという。 すでに、ギャラクシーノート7との互換性を特徴とした、仮想現実(VR)用ウェアラブル「ギアVR(Gear VR)」が逆風にさらされている。

 また、今月末に発売開始予定であるスマートウォッチ「ギアS3」も期待されていたが、一連のトラブルによって、割引対象商品になる可能性が高いのではという見方も出てきている。さらには、ギャラクシーノート7で一層改善されていた健康管理機能をプラットフォームとして、バイオヘルス事業の基盤を拡大しようとしたビジネスプランも、見直さざるを得ない状況だ。

 以前より大きく注目されていた、虹彩認証機能やクラウド技術を利用したフィンテック市場への進出にも、当分は期待できそうにないという厳しい指摘が相次いでいる。そればかりか、ギャラクシーノート7には「ノックス(KNOX)」という独自のセキュリティソリューションを強化して、外部アクセスが不可能な「セキュリティフォルダ」を導入したが、こちらも同様に停滞は必至。成長産業であるクラウド分野の普及拡大を見越した「サムスンクラウド」さえも、トラブルの影にかすんでしまった。