人工知能100年研究(AI100)が描く2030年の世界

ロボティア編集部2016年9月15日(木曜日)

「人工知能100年研究(One Hundred Year Study on Artificial Intelligence=AI100)」というプロジェクトがある。今後100年に渡り、人工知能技術がどのように発展し、社会にどのような影響を与えるか、継続的に観測・分析するというプロジェクトだ。

 今回、ここに参加している17人の専門家が、プロジェクト発足後2年の時を経て、初のレポートを提出した。レポート名は「2030年の人工知能と生活(ARTIFICIAL INTELLIGENCE AND LIFE IN 2030)」。2030年の頃の近未来に、人工知能技術が北米に住む人々の生活をどのように変化させるか分析したものとなる。

 約50ページの同レポートは、8つの分野を分析。その結果を報告している。もっとも、興味深いのは「人工知能と輸送手段」の分野だ。レポートは、今後、自律走行車および輸送手段がすぐに普及し、ほとんどの人々はそれらを通じて“物理的形を持った人工知能”を初めて経験することになるだろうと予想している。加えて、その経験が人工知能の認識を左右することになろうともいう。

 レポートは、人間よりも優れた運転能力を備える自律走行車が登場すれば、人々は車を所有しなくなり、あえてオフィスに近いところに住まいを構えなくなるとする。また、運転することがなくなるので、人間は一日50分の運転時間(米国の都市生活を基準)を自分の時間として有効活用できるようになるとも指摘した。

 加えて、自律走行する車やトラック、ドローン宅配便などが、通勤や業務、ショッピングの方法を大きく変えると強調。フライングカーおよび、パーソナルロボットの登場も期待した。一方、陸・海・空をまたぐ、ドローンのような全く異なる交通手段の出現には否定的だ。