ワシントンポストのロボット記者ヘリオグラフがリオ五輪で活躍

ロボティア編集部2016年8月14日(日曜日)
ヘリオグラフ

 米国を代表する有力日刊紙「ワシントンポスト」が、リオ五輪の報道の一部に、ロボット記者=記事作成アルゴリズムを使用しているという。同社が自社開発した「ヘリオグラフ(Heliograf)」と呼ばれるソフトウェアは、個々の試合結果について、短い記事を、短時間で作成することができる。

 ワシントンポストによれば、これまでのオリンピック報道では、多くの記者が長時間にわたり、多数の記事を作成する必要があった。ただ、同ソフトウェアを活用すれば、単純な業務から記者が解放されるとともに、結果を迅速に伝えることができるとのことだ。一方、人間の記者や編集者は、詳細な分析記事やオリジナリティーの高い解説記事などに注力することができるとも言う。

 ヘリオグラフは、個々の試合の結果のほか、試合のスケジュールや国別のメダル数などを伝える原稿作成にも活用されている。それら記事は、ワシントンポストのブログ、ツイッターやフェイスブックなどのSNS、またアマゾンの音声アシスタント・アレクサ(Alexa)など、ニュース配信サービスを通じてリリースされている。

 オンラインメディア「デジタルトレンド」の取材結果によると、ワシントンポストは記者など約12人をリオ五輪に派遣している。加えて、それより多くの人員がワシントンのニュースルームで作業している。それらの現場では、速報などはアルゴリズムに任せ、人間の記者は、より深みのある記事を作成しているという。

 ワシントンポスト側は、オリンピックはヘリオグラフのようなロボット記者の可能性を試行錯誤・発見することができる絶好の機会だと評価している。例えば、2014年に開催されたソチ五輪では、スポーツ担当記者が試合の結果をまとめるのに膨大な時間を費やしていた事例などを挙げている。一方、今回はヘリオグラフの導入で、記者たちが解説や興味深い大会の裏話などを入手・記事にするために活躍できるようになったと伝えている。