Googleの新AIプロジェクト・マゼンタ、音楽分野に挑戦

ロボティア編集部2016年6月4日(土曜日)

 Googleが美術や音楽を創作する人工知能プロジェクト「マゼンタ(Magenta)」の詳細を公開。初の作品となるピアノ演奏曲も披露した。

 グーグルブレインチームは1日、公式ブログでマゼンタについて言及。目標は「マシンラーニングで芸術や音楽を創作することができるかどうか」を調べるというものである。加えて「もし(それが)可能なら、芸術を創作する人工知能をどのように設計するか、(反対に)もしそうならないなら、その理由は何か」調べることも研究テーマのひとつだそうだ。

 マゼンタを紹介するウェブページには、次のように説明されている。

「マゼンタには、2つの目標があります。まずマゼンタは、機械知能(machine intelligence)を、音楽と芸術を生成できる最先端の段階まで発展させる研究プロジェクトです。音声認識や翻訳のように、マシンラーニングはすでにコンテンツを理解する分野で広く活用されています。私たちはマゼンタで、他の分野、すなわち芸術と音楽を作り出す方法を学び、芸術的なコンテンツを自ら作ることができるアルゴリズムを探求しようとしています」

 作曲を行うコンピュータアルゴリズムは、1950年代からすでに存在した。1957年、ルジャレン・ヒラー(Lejaren Hiller)と、レナード・イサクソン(Leonard Isaacson)が、イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校にあったコンピューター、イリアック・ワン(ILLIAC I)を利用して作った「弦楽四重奏のためのイリアック組曲」が、その手の最初の音楽作品として挙げられる。

 また、モーツァルトやバッハなど、特定の作曲家のスタイルを分析し、彼らと同じような曲を書くためのアルゴリズムの研究が、1960年代から数多く行われた。2000年代には、カリフォルニア大学サンタクルーズ校(University of California, Santa Cruz)の名誉教授デビッド・コープ(David Cope)氏が、音楽を聞く人のフィードバックを受けて作風を修正するコンピュータ作曲プログラム「エミリー・ハウエル(emily howell)」を発表して話題となった。

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 ただしGoogleのマゼンタは、自ら音楽や芸術を“学習”して創作するマシンラーニングアルゴリズムの開発を目指している。事前に入力されたプログラムに沿うのではなく、マシン自ら音楽を創作する方法を学習し進化していくという方向性だ。