
ただハラリ教授は「知性」と「意識」は別物だとも指摘。高度なコンピュータソフトウェアや囲碁世界王者イ・セドル氏を打ち負かしたalphaGo(アルファゴ)の知能は高かったが、喜びも不安も感じることができない「意識ゼロの状態」だとした。
「今のところ知能が高いと概ね意識も高かったが、これからの世界はそのような等式が当てはまらなくなる」
ハラリ教授は科学技術と世界平和の未来についても言及。次のように話している。
「人類は脅威的な技術であっても、平和的に扱ってきた経験がある。私は核兵器が発明されていなければ、第3次世界大戦が起こっていたと考えている。しかし核兵器の恐ろしさのために、人類は平和をより追求した。同様に人工知能(AI)技術についても、“恩寵”に変える能力が人類にはあると思う」
ハラリ教授は、そのような「大転換」の時期には、大きな悲劇が繰り返されてきたが、悲劇という結末だけ待っている訳ではないとも語る。
「私たちは技術を選択する必要がある。(逆に)技術に私たちの操縦桿を握らせてはならない。そのためには、まず私たち自身が何者であり、最終的に必要なことは何なのかを知る必要がある」
現在、世界ではAIを始めとする科学技術の発展が、人間に「存在論的疑問」を投げかけていると言われて久しい。つまり、「人間とは何」、また「人幸福とは何か」「人間が目指すべき社会」はなどの問いが、改めて問い直されているということになる。ハラリ教授もまた、世界の専門家や未来学者と同じく、きたるべき世界の姿を案じる人物のひとりのようだ。
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