OpenAIがルービックキューブを解くロボットハンド開発...社会実装の試金石になるか

ロボティア編集部2019年10月18日(金曜日)

人工知能(AI)を開発する非営利組織・OpenAIが、ロボティクスとAI技術を組み合わせて、ルービックキューブを解くロボットハンドを開発した。

ルービックキューブを解くロボットは過去にも存在し、なかにはわずか1秒で完成させてしまうロボットもあった。しかし、人間の手を模したロボットハンドを使った研究例は類をみない。そのため、OpenAIの研究者たちは、数ヶ月にわたってロボットアームを学習し成果を追求してきたという。

なお、5本指型のロボットアームでルービックキューブを解くためには、従来であれば非常に複雑なプログラムが必要とされてきた。そこで、研究者たちはマシンラーニング技術を採用。ロボットハンドは人間であればおよそ1万年に相当する時間を使い、試行錯誤を繰り返し、パズルを解く方法を習得したと研究チーム側は説明している。

同プロジェクトに参加した研究者・であるピーター・ウェリンダー氏は、メディア取材に応え、ルービックキューブを解くことが社会に大きく役立つことはないだろうとしつつも、技術の拡張性の限界を示したという意味で意義があったと話している。実際、ロボットハンドの完成度もまだまだ高くはない。OpenAIの研究者によれば、10回のうち8回はパズルを落としてしまうという。

「現在、ボストンダイナミクスが公開しているように、ロボットレッグの開発は大きく前進している。しかしながら、ロボットアーム、なかでもロボットハンドの精密性、自律性を向上させることは難しく、AI研究者や業界内でも課題とされている」(日本の学界関係者)

ロボットハンドの能力向上は、倉庫や食品などの加工工場にとって強く望まれている分野でもある。従来の産業用ロボットでは、同分野の仕事を細部まで自動化できないからだ。OpenAIの研究成果は、ロボットの社会実装にどう繋がっていくのか。新たな研究成果の発表を待ちたい。