MITの「魚型水中ドローン」海の生態系に溶け込む自然派デザイン

ロボティア編集部2018年4月7日(土曜日)

潜水士が使用する産業用ドローンからコンシューマー用まで、「水中ドローン市場」が拡大している。中国のスタートアップ・パワービジョンの「パワーレイ」は、2017年に5万台を売り上げたという。パワーレイは深さ30mまで潜水し、リアルタイムで4K UHD映像をスマートフォンに送信できる。一方、米国ブルーロボティクスの水中ドローンは、深度100mまで潜航可能。海中で船体底面の欠陥を検出する用途で開発・使用されている。

では、MITコンピュータ科学・人工知能研究所(CSAIL)が最近公開した「ソフィー(SoFi)」はどうか。こちらは、海洋環境を探索するために開発された魚型水中ドローンだ。大きさ18.5インチ(約47cm)で、自然に溶け込んだデザインが魅力的である。

ほとんどの水中ドローンはロープやプロペラが取り付けられており、その見慣れぬ容貌から海洋生物が驚いて離れていっていまうという課題を持つが、CSAILのロバート・カッシューマン(Robert Katzschmann)氏は、ソフィーは魚のように自然に泳ぐので、それら課題を克服し任務を遂行できると説明している。
ソフィーは、最大18mまで潜水でき、垂直(dive plane)フィンを用いた経路変更を行う。CSAILが公開した映像には、本物の魚そっくりなシリコン材質のテールフィンが登場する。ソフィーのボディの半分は、シリコンゴムや柔軟なプラスチックで作られており、頭部を含めほとんどの部品が3Dプリンタで製作された。ソフィーの目には、カメラと魚眼レンズが搭載されており、広角写真を撮影することができるようになっている。最大21m離れた場所からリモコンで操作できる。

なお、ボディ部分に水が入ることを減らすため、頭部はベビーオイルで満たされている。長時間にわたり自律潜航が可能な水中ドローンおよびロボットの開発における研究者の最大の課題は、上昇と下降だ。 CSAILの研究チームは、空気を圧縮・弛緩する方法で、ロボットの上昇・下降を制御できるようにした。

カッシューマン氏は、ソフィーの能力は単純な海洋生物の観察にとどまらないと強調。「魚たちとの交流」を試みていると説明している。