AI企業ABEJAが武蔵精密⼯業と協業...ディープラーニング活⽤した検品⾃動化の実証実験を運用

ロボティア編集部2018年2月20日(火曜日)

ディープラーニング関連の技術・サービス開発するABEJAが、輸送⽤機械器具製造・販売企業である武蔵精密⼯業株式会社と協業。ディープラーニング技術を活⽤し、武蔵精密⼯業が製造する四輪⾞⽤の部品「ベベルギヤ」の画像データを解析し、完成品の⾃動検品を⾏う実証実験を2017 年 6 ⽉から10 ⽉にかけて実施する。武蔵精密⼯業は、本実証実験で構築したモデルを活⽤し、2018 年度より⾃社の⼯場内で試験的な運⽤を開始する予定だ。

武蔵精密⼯業は、主にパワートレイン領域で使⽤される 4 輪/2 輪部品を主⼒製品とし、鍛造から組⽴までを⾃社でグローバルに展開する⼀貫⽣産体制を持つ。⽣産性向上の取組の⼀環として、⼯場の⾃動化にも早くから着⼿してきたが、特に検品⼯程は、熟練した作業員の能⼒に依るところが⼤きく、⾃動化に課題が残ってた。そこで武蔵精密⼯業では、ビックデータをもとに良否を判定できるディープラーニング技術に着⽬。2017 年から社内プロジェクトとして、検品⼯程への AI 導⼊を模索してきた。

ABEJA は、AI のブレークスルー技術であり、蓄積されたビックデータから⼈間の⼿を介さずしてそのデータを適切に表現する特徴を⾃動的に⾒つけ出す「ディープラーニング」技術を活⽤したサービスを提供している。これまで、ディープラーニング技術を活⽤し様々な⼤量データの取得・蓄積・学習・ 解析・出⼒・フィードバックを⾏うPaaS(Platform as a Service)技術「ABEJA Platform」の研究開発を⾏ってきた。2016 年 6 ⽉には、ダイキン⼯業株式会社の技術開発拠点であるテクノロジー・イノベーションセンターと、同PaaS領域における協業を開始。2017 年 7 ⽉には製造業におけるバリューチェーンの構造変⾰を図るソリューションとして、「ABEJA Platform」を活⽤したパッケージサービスの提供を開始し、製造業界に進出している。

※検品の⾃動化概略図

今回、武蔵精密⼯業と協業した実証実験では、武蔵精密⼯業が製造する四輪⾞⽤の部品であるベベルギヤの画像データをディープラーニング技術で解析し、良品と不良品を⾒分け不良品を検出する学習済みモデルの構築を担った。武蔵精密⼯業が製造するベベルギヤは、精密鍛造技術を⽤いて製造されるため、完成品の精度が⾼く、不良品が製造される割合が⾮常に低い製品だが、⽬視による検品⼯程の⾃動化は兼ねてより課題となってきた。そこで、画像解析に⾼い精度を持つディープラーニング技術を活⽤し、不良品データが著しく少ない状況でも不良品を確実に検出できるよう、両社で連携し実証実験の中で様々な⼯夫を施しという。例えば、武蔵精密⼯業は、製造装置の内製化で培った技術⼒を活かし、対象物をカメラで的確にとらえデータを取得するための環境を構築してきた。

また、ABEJA は、「AutoEncoder」(オートエンコーダ:⾃⼰符号化器)をはじめとした複数の⼿法を組み合わせ、良品データのみから不良品を判断する⽅法を確⽴。モデルの精度向上を図った。結果、約 4 ヶ⽉間の実証実験で、⼈が⽬視で⾏う検品と同程度の精度をもつ学習済みモデルの構築が実現したと両社は発表している。今後、学習済みモデルの調整および精度を⾼め、ABEJA Platform の継続的なインテグレーション(モデルの再学習や更新)と監視機能を⽤いて 2018 年度には試験的な運⽤に移⾏する予定だとしている。なお、今回の実証実験における、データの蓄積、アノテーション、教師データの作成、学習済みモデルの構築と精度検証などの⼀連の⼯程は「ABEJA Platform」上で実⾏された。