スウェーデン人がAI・ロボット化社会を恐れない理由

ロボティア編集部2018年1月12日(金曜日)

実際、EUが2017年に実施したアンケート調査によると、スウェーデン国民の80%が、人工知能およびロボットについて肯定的に考えていることが分かった。一方、ピューリサーチの調査結果によれば、ロボットとコンピュータが人間を代替することに不安を感じている米国人は72%に達しているという。

米国では、ほとんどの労働者が医療保険を企業に依存している。そのため、仕事を失えば膨大な医療費に対処することが難しくとなる。失業すなわち生活の危機となる。しかし、社会のセーフティーネットが整っているスウェーデンなどは違う。国が無料教育や健康保険サービスを提供しており、失業時の福祉が厚い。また多くの企業が、大規模な教育プログラムを提供している。労働組合側も、自動化システムの普及が仕事をより安定にするとして、導入に反対していない。むしろ、出遅れれば国際競争力の低下を招くという危機意識を持っている。

スウェーデンのとある新聞社に勤めていたSoren Karlsson氏は、3年前に会社を辞めて仲間とともにユナイテッドロボッツ(United Robots)というベンチャー企業を設立した。同企業は、自動的に記事を書くロボット記者(ソフトウェア)「ローザリンダ(Rosalinda)」を開発している。同ロボット記者は現在、スポーツに関する記事を主に作成しているのだが、人間の記者の仕事がなくなったわけではない。むしろローザリンダが、人材不足で取材が困難だった高校のホッケーチームや、小規模サッカーリーグの試合記事を作成することで、新しい仕事を生むことに成功している。

仮に仕事を失っても、スウェーデン企業が財政的に後援する雇用安全委員会が新たな雇用を見つける手助けをする。同委員会は、昨年のプログラム参加者83%が、新しい仕事を得ていると紹介している。また、新たに仕事を得た人の3分の2は、前職水準の報酬、またそれ以上で新しい仕事に就いたという。

おそらく、ロボットや自動化の恩恵が社会全体に行き届くためには、企業単位の努力だけでは足りないだろう。日本を含む各国は、新しい時代の到来に向けてどのような社会の設計図を描いていくのだろうか。スウェーデンやそこに住む人々が持つ自動化への意識は、参考になるかもしれない。